今の若い世代は「聞いたこともない」と言う人が多いかと増えていると思いますが、日本特有の「言い伝え」と言われる言葉はたくさんあります。
「夜に爪を切ってはダメ!」も、その言い伝えのひとつです。
知らない人が増えていくと言うことは、夜に爪を切っても問題ない時代になったと言うことかもしれません。
また、古くから伝わるものには「ちちんぷいぷい」や「クワバラクワバラ」などの、おまじないとなっている「呪文」もあります。
そこで今回は、古くから伝わる言い伝えは迷信なのか、その言い伝えや呪文はどこから来たものなのかなどの謎に迫ります。
古い呪文と言えば、陰陽師の安倍晴明の存在も気になりませんか。
もくじ
夜に爪を切ってはダメ!これは迷信?
「夜に爪を切ってはいけない」と聞いている人や、「夜に爪を切ると親の死に目に会えない」と覚えている人もいます。
これは、迷信ではなく、時代背景が影響した「注意事項」だと言えます。
今のように夜でも昼間のように照らす照明が無い中、爪切りも無く、除菌もしていない小刀などで爪を切ったら不衛生だし、大怪我の元です。
飛んだ爪が見えず踏んで怪我をする危険もあるし、傷口からばい菌が入って破傷風を起こすと、親より先に命を落としてしまうかもしれないので、「ダメなこと!」として、伝えられたのです。
昔には重大な注意事項でも、今は十分な照明も消毒薬もあるので、巻き詰め防止のためにも、お風呂上りの柔らかくなっている時に切るのが一番です。
ちちんぷいぷいって誰からの言い伝え?
ちちんぷいぷい 痛いの痛いの飛んでいけ!と言いますね。
赤ちゃんが転んで泣いた時などに、使われる「おまじない」です。
これは、春日局が「知仁武勇御代の御宝」と三代将軍 家光をあやしたところからきていると言われています。
読み方は「ちちんぶゆう、ごよのおたから」です。
「あなたは知識と武力を兼ね備えている徳川の宝なんだから、泣いてはいけない」と言う意味だそうですよ。
諸説ある「クワバラクワバラ」は災い除けの呪文?
雷除けに使われる言葉に「クワバラクワバラ」があります。
これは、菅原道真が最後を迎えた時に、激しい雷が発生したが、追いやられた土地の桑原だけは、雷が落ちなかったから唱えるようになったと言うものや、天から落ちた雷の子を助ける代わりに「桑原には雷を落とさない」と約束させたと言う、明らかに物語風の言い伝えもあります。
全然違う場所でも、「ここは桑原、桑原」と唱えて、雷を落ちないようにしようと言うわけです。
呪文を唱える代表と言えば、陰陽師、安倍晴明がいます。
今は、陰陽師と言うと、オカルト要素が強いですが、本業は暦や星をよみ、大切な行事の日程を決めたり、避けたりする事です。
また、悪霊や呪いによる災いを受けないようにする呪文を唱えることも仕事でした。
空海が広めた仏教の真言宗の真言とは、仏の言葉を唱える呪文のことで、サンスクリット語が使われています。
その中に「クワンバラン」と言う災い除けの呪文があり、真言を多く取り入れていた陰陽師は、それを使っていたであろうと言われているのです。
そんな陰陽師の災い除け「クワンバラン」と、菅原道真の「桑原」に雷が落ちなかったと言うことが重なって、いつからか「クワバラクワバラ」は、雷除けとなったようです。
陰陽師は、中国の呪禁(ナタク)も取り入れているため、呪術として、「護符を貼る」ことがあります。
これが、今でも神社で売られる「お守り」の原点だそうですよ。