医療保険とがん保険は必要か?必要性と選び方のコツ


「入院したら1日につき1万円」、「がんと診断されたら100万円」、「持病のある方でも入れます」など。

毎日のようにテレビで医療保険やがん保険のCMをやっていて、見ない日がないといっても過言ではないほど目にする機会が多いと思います。

誰しも病気に対しては漠然とした不安を持っていて、ましてや自分の身の回りの人が最近入院した、といったような場合にはより強く不安を感じてしまうことでしょう。

そのとき、入院や手術に備えてテレビでいつも目にしている医療保険やがん保険を検討される方も多いと思います。

では、医療保険とがん保険、ともに入院や手術などをした際に給付金が支払われる保険ですが、どちらを優先すべきなのか、そもそも加入する必要があるのか、簡単に解説していきます。

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優先すべきはがん保険

生命保険の仕組みから考えると、優先すべきはがん保険であるといえます。

そもそも生命保険とは、収入と支出が必ず一致していなければならないという、収支相当の原則とよばれるもので成り立っています。

数学のプロであるアクチュアリー呼ばれる人たちが、保険事故(保険の対象となるもの、医療保険なら入院や手術)の発生確率やその際に支払う金額、さらには生命保険会社の運営にかかる費用を基に保険料を計算しています。

つまり、将来支払うことになるであろう金額から保険料を算出しているため、簡単に言ってしまえば保険会社が損をしない仕組みになっているということです。

では生命保険はまったく要らないかと言うと、そうではありません。

生命保険にはもう1つの原則、相互扶助と呼ばれるものがあります。

これはある人に大きな損失が発生してしまった場合、その人一人ではどうしようもないようなときにみんなが少しづつお金を援助して助けてあげる、といった助け合いの精神です。

例えば大きな災害が発生したとき、街頭などで募金を集め、それを被災者の方に役立てるといったことが当たり前に行われていますが、その権利義務関係を明確に仕組みとしたのが生命保険、といえるでしょう。

この考え方でいくと、小さな損(保険料)で大きな損をカバーするというのが生命保険の本来の役割といえるため、より損失が大きくなるがん保険の方を優先的に考えるべきとしています。

では、次に医療保険とがん保険、それぞれの必要性について解説していきます。

がん保険の必要性


国立がん研究センターの2012年データによると、一生涯のうちにがんになる確率は男性で63%、女性で47%となっています。

男性は3人に2人、女性は2人に1人というかなり高い確率で一生涯のうちに何らかのがんにかかってしまう、という統計結果が出ています。

では、次にがんにかかるとどういう費用が発生するかをみていきます。

まず、入院・手術・通院といった基本的な治療に関する費用が発生します。

さらに、現在では重粒子線治療などの先進医療と呼ばれる治療法もあり、こちらは健康保険の適用外となるためかなり高額な金額を自己負担しなければならなくなる傾向があります。

重粒子線治療はいくつかの条件を満たした場合に治療を受けることができる、副作用の少ない治療法とされていますが、この治療を受けるためには約300万円ほどの費用がかかってしまいます。

また、がんにかかると体調がおもわしくなく、抗がん剤治療により髪が抜け落ちたりして、「あまり人に見られたくない」という気持ちから個室を希望する場合もあるでしょう。

この場合、病院によって異なりますが、1泊につき5000~10,000円程度の差額ベッド代と呼ばれる健康保険適用外の費用が発生します。

そして、現役で働いている方にとって一番深刻なのは、がんが完治してもすぐに今まで通りに働けるとは限らず、休職や時短勤務、場合によっては転職を余儀なくされ、給与が下がってしまうことです。

東京女子医科大学の遠藤医師の調査によると、病休開始後に時短勤務として復職できたのは81%、復職までに79日間を要し、フルタイムで復職できたのは62%、復職までに201日もの期間が必要になります。

健康保険の制度には、1ヶ月間にかかる医療費の自己負担額を所得の区分に応じて一定額までに抑える高額療養費制度がありますが、先進医療や差額ベッド代、復職までの給与減に対応するには、がんに特化したがん保険が必要といえるでしょう。

医療保険の必要性

一方で、病気やケガによる入院や手術全般を保障する医療保険について、その必要性を検討してみます。

がん保険のところでもがんにかかる可能性は高いと述べましたが、医療保険の場合はほとんどの人が一生のうちに一度は入院や手術を経験するでしょうから、発生確率はかなり高いといえます。

保険会社から保険金・給付金を受け取る機会が少ない中で、医療保険に加入していると給付金を受け取る機会が多いことから、「やっぱり医療保険に入ってて良かった」と思う人も多いでしょう。

しかし、それが本当に良いことなのか、具体的な金額で計算してみます。

30歳男性が入院1日につき1万円が支払われるといった保障が一生涯続き、保険料は60歳までに払い終えるという医療保険に加入した場合、月々の保険料は約4500円程度ですが30年間の合計では160万円といった金額になります。

生命保険文化センターの28年度版生活保障に関する調査によると、直近5年間で入院した人の平均入院日数は19.1日となっており、5日未満が17.5%、5-7日が25.4%、8-14日が25.1%となるなど、入院日数の短期化が進んでいます。

平均的な日数で考えると、19日間入院するような病気に一生涯で9回以上かかってしまえば、160万円という保険料以上の給付金を受け取ることができますし、手術も同時に行われる場合にはもう少し少ない回数で支払った保険料を上回ることができます。

もちろん、保険会社は損しないという前提で成り立っている以上、支払った保険料以上の給付金を受け取れる方は稀だということになります。

であれば、医療保険は不要かというとそうではありません。

例えば、自営業者の方などはたとえ短期の入院であっても自分が働けない期間の収入が途絶えたり損失が発生することを考慮すると、その補填として医療保険に加入することも考えられます。

また、精神疾患や脳疾患系の病気については入院・治療期間が長期にわたることが多く、その場合に発生する治療費や給与の減少などはかなり深刻なものとなるため、医療保険で備えることも必要となるでしょう。

ただし、最近の医療保険は入院期間が短期化しているからといって、1回の入院日数を30日や60日と上限を低くする代わりに保険料を安くしているものが多いので、長期入院に備えるのであればそうしたものを選ばないよう注意が必要です。

必要性の検討にあたって重要なこと


がん保険、医療保険ともに入院や手術の際に支払われるものですが、加入するにあたっては、漠然と病気に備えるためではなく、実際にどういう目的に使用するのか(治療費の補填、給与減少の補填など)をしっかり考えて、その保障内容や保障期間を選択する必要があります。

例えば、治療費は健康保険でまかなうので、給与減少に対応したいというのであれば、保障期間を終身ではなく定期(60歳までなど)にすることで保険料をかなり節約することができます。

逆に、治療費の支払を心配するのであれば、病気にかかるリスクが急上昇する60歳以降もしっかり保障が続く終身型にする必要があります。

また、保障内容についても、入院・手術に加え、通院や特定の治療の際に追加して給付金がでるものや、短期入院の場合に金額が上乗せされるような特約がありますが、幅広な保障になればなるほど安心感は増す代わりに支払う保険料もどんどん上昇します。

上述の通り、保険の基本は小さな損(保険料)で大きな損に備えることですので、可能な限り保障は最小限のものにとどめ、特約等はあまり付加しないようにすべきでしょう。

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がん保険加入時のポイント

がん保険を加入する際に抑えておくべき4つのポイントをご紹介します

1.加入タイミングについて

がん保険には可能な限り早いうちに加入すべきです。

がんは高齢になるほどかかるリスクは格段に上昇する一方、若いうちにかかる可能性は低く、国立がん研究センターの2012年の統計によると、40歳までに何らかのがんにかかる確率はわずか1%しかありません。

だからといって、若いうちはがん保険が不要かと言うとそうではありません。

現役で仕事をしている方にとっては、がんにかかったことで休職、転職、最悪の場合失業し収入が減少するリスクを考えると、可能性は低くとも備えておく必要性はむしろ高いともいえるでしょう。

そもそも、保険会社は預かった保険料を運用し、その運用益を保険料から割引いて計算を行っているため、加入するのが早ければ早いほど、保険料を支払う期間は長くなったとしても保険料の総額は安くなります。

保険料の総額が安くなる上に、その間に万一がんにかかったとしても保障があることを考えると、結局加入するのであればあえて加入を先延ばしにすることはないでしょう。

2.保険料払込期間について

がん保険の保険料の払込期間については、終身払有期払(60歳までなど)の2つのパターンがあります。

有期払は、60歳までなど加入時に支払う期間を決めるタイプで、月々の保険料は終身払よりも高くなっています。

終身払は月々の保険料は有期払よりも安くなりますが、加入している限り一生涯保険料を支払う必要があり、80歳、90歳まで支払うと結局保険料支払総額は有期払に比べると高くなります。

がん保険に加入する際は、医療は日々進化しているのでそれに対応した新しい保険が次々と出てくると思われるので、いずれ解約してそちらの新しい方に加入し直すことを考えると保険料の安い終身払いの方がいい、とよく言われます。

しかし、現在は平均寿命がどんどん伸び、それに伴いがんになる確率も上昇している上に、マイナス金利という経済環境の中で、保険会社が運用によって得られる利益で保険料を割り引く予定利率と呼ばれるものも今年4月にさらに引き下げられます。

つまり、安くて保障内容が充実した新しいがん保険が今後も新しく発売されるかというとかなり疑問です。

であれば、確かに月々の支払が多少高くても、有期払で加入することをオススメします。

3.特約について

上述の通り、保障内容を充実させる特約は不要です。

可能であれば、「がんと診断されたら100万円」というような診断給付型のもののみがよいでしょう。

がんによる入院期間もどんどん短くなっており、多くの場合はその後の通院に時間とお金を要することになります。

入院保障だけあっても不十分ですし、通院特約をつけると高くなります。

どんな治療方法を選択するにしても、がんと診断されたタイミングで給付される診断給付金があれば十分でしょう。

唯一先進医療特約については、発生確率は低いものの、保険料も安く、万一先進医療を受けるとなった場合の金額を考えると、付加しておいても良いと思います。

4.注意点

がん保険に加入する際には、90日という待ち期間があることに注意する必要があります。

通常、生命保険は申込書類に記入し、健康状態を告知し、保険料を支払った段階から保障が開始されるので、極端な話、加入の翌日に病気になったり亡くなったりしても保険金・給付金が支払われますが、がん保険には待ち期間が設けられています。

そのため、新しいがん保険に切り替える際などは、この期間を考慮して加入し直す必要があります。

また、最近良く耳にするトラブルに「がんと診断されたのにがん保険がおりない」といったものがあります。

これは、詳細に話すと長くなるため割愛いたしますが、がんの診断についても日々変わってきており、医師によってもがんの診断基準が異なるということに加え、保険会社側のがん保険も発売当時の基準が今の基準に適合していない場合もあるため、ややこしくトラブルになるケースが多発しているのです。

一言にがん保険といっても、どういうものをがんと呼び、そのがんに対する保障はどうなっているかをきちんと確認しておく必要があります。

最後に

ここまで、小さな損(保険料)で大きな損に備える、といった損得勘定で色々を解説してきました。

しかし、生命保険は生命・健康を扱う以上、感情・情緒的な側面も否定できません。

例えば、実際に自分が入院したら、もしくは家族が入院したら、といったことを想像してみてください。

もしかしたら「自分の治療費のことより今の生活の方にお金を回して欲しい」と思い、治る可能性が高くても高額な治療を放棄してしまうかもしれません。

逆に、自分の親や配偶者が治療費のことを心配するあまり治療を望まない、ということになったら、とても悲しいですよね。

将来の入院などがなんとなく不安だ、といったような漠然とした感情であってもそれを否定することはできません。

すでに述べてきたとおり、必要性を考慮しながら無駄は省きつつ、最終的な加入の是非はその人の考え方・感情に委ねられるべきであると思います。

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