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独身女性のマンション購入はやめるべき?メリットとデメリットを解説

今や独身女性がマンションを買うことはなんら不思議のない一般的なことになっています。

リクルート住まいカンパニーが行った『2016年首都圏新築マンション契約者動向調査』によると、2016年度にマンションを購入した人のうち、独身女性は全体の5.8%で、独身者だけに限ると半数以上が女性となっています。

以前は住宅ローンが通りにくいなど、独身女性を取り巻くマンション購入事情は厳しいものがありましたが、現在では女性向け住宅ローンなどもあり、マンション購入に関する障害は低くなりつつあります。

また、2016年1月29日に日銀がマイナス金利の導入を決定してから、住宅ローン金利も過去に例を見ない低水準になっています。

2017年4月時点で、都市銀行の変動金利であれば0.6%、ネット銀行の変動金利であれば0.5%を下回る銀行もあります。

そんな状況下なので、今がマンション購入のチャンスでは?と思い、購入を検討されている方も多いのではないでしょうか?

マンションを購入するにあたり、とりわけ独身女性にとってのメリット・デメリットを紹介していきたいと思います。

マンション購入のメリット

マンションを購入することによって発生するメリットは、大きく3つに分けられます。

1つ目は金銭面のメリット、2つ目は自身の資産形成というメリット、そして3つ目は精神的な充足感が得られるというメリットです。

まず、1つ目の金銭面のメリットとは、一定の条件を満たした場合に住宅借入金等特別控除という所得税の減免措置を受けることができるという点です。
住宅借入金等特別控除とは、平成31年6月30日までの間に、所得が3,000万円以下の人が、50㎡以上のマンションを、自己の居住用として購入した場合、毎年のローン残高の1%(上限:40万円または20万円)が所得税額から控除されるといった制度です。

例えば、上記の条件に当てはまる新築マンションを購入するにあたり3,000万円の住宅ローンの借り入れを行った場合、3,000万円×1%=30万円となり、この金額がそのまま毎年の所得税額から控除されます(2年目以降はローン残高に応じて控除額も減少)。

このように、当面の間は節税といった大きな金銭面のメリットを受けることができます。

次に、自身の資産形成というメリットですが、賃貸とは異なり持ち家といった自身の資産を形成でき、老後の住宅費の不安や負担を軽減することができます。

持ち家があれば、老後に年齢を理由に賃貸を断られ、住む場所に困るといった心配もなくなります。

またマンションの場合、管理費や修繕積立金等の様々な諸経費がかかりますが、それでも家賃負担よりは出費が少なくて済むため、老後の収入が減少している中で住宅費の負担が軽減できるというのは大きなメリットと言えるでしょう。

そして、3つ目は精神的な充足感を得られるというメリットです。

女性にとって『住宅の質』というのは非常に重要なポイントなのではないでしょうか。

上述の『2016年首都圏新築マンション契約者動向調査』によると、マンション購入動機において『住宅の質』を挙げた人の占率は全ライフステージの中で独身女性が最も高い18.1%(平均10.6%)だったことからも、そうしたことが伺えます。

「広い」「駅や会社から近い」「セキュリティが充実」など、住宅そのものの質ももちろんですが、「インテリアや間取りなどを自分なりにコーディネートができる」といったことも大きいのではないでしょうか。

このように、自分の城とも言うべき自己マンションを購入することで、精神的な充足感が得られるというのも大きなメリットの1つです。

マンション購入のデメリット

一方で、マンションを購入するにあたってのデメリットも大きく3つに分けられます。

1つ目は同じく金銭面のデメリット、2つ目は面倒な義務が発生するというデメリット、そして3つ目は何かあったときの自由がききにくくなるというデメリットです。

1つ目の金銭面についてはメリットでも触れましたが、出費が減少する一方で発生する費用もあるという点がデメリットです。

例えば賃貸の場合には家賃とは別に管理費・共益費等がありますが、マンションを購入した場合においては管理費や修繕積立金等といった費用が発生します。

特に修繕積立金については、新築時などは比較的低く設定されていることが多く、築年数の経過とともに金額が大きく上昇することがあるので注意が必要です。

また、保険についても賃貸のときは家財保険と借家人賠償責任保険等で済むため比較的安価ですが、マンションを購入した場合には火災保険、地震保険等にも加入するとなると出費が増えることになります。

さらに、資産を持つということに対してかかってくる税金、固定資産税が発生します。

確かに住宅借入金等特別控除で節税になるというメリットはありますがそれは10年間だけであるため、金銭面においては新たに発生する費用によるデメリットの方が大きいと言えます。

次にマンションには管理組合があるため、所有者は定期的に管理組合の理事・役員等になることを迫られる場合があります。

独身女性だけに限りませんが、現職で働いている場合には行事や理事会への参加が負担になることもあるでしょう。

また、その出席を巡って他の住民との間でトラブルが発生してしまう可能性もあります。

そして、最後にマンションを購入してしまった場合、何かあったときに自由がききづらいというデメリットがあります。

例えば、転勤や転職などで職場が遠方になってしまった場合、購入したマンションを売却する、または賃貸に出すなどの必要がありますが、それがスムーズにいかなかった場合には余計な費用が発生することになります。

万が一売れなかったり借り手が現れなかったりした場合には、住宅ローンに加えて転居先の住宅費が発生し、二重の住宅費を払う羽目になってしまいます。

独身女性の場合、ストーカー被害などの防犯上のトラブルで引越しを余儀なくされることもあるかもしれません。

また、親の介護の問題が発生した場合にも購入したマンションを処分し、実家に帰る必要が出てくるといったこともあるでしょう。

厚生労働省の「平成25年 国民生活基礎調査の概況」によると、介護を行っている実に68.7%が女性であり、まだまだ介護の主な担い手は女性であることに変わりはありません。

こうしたときにもしマンションがうまく処分できなかったら、急遽の引越し、場合によっては転職を余儀なくされ、親の介護をしながら住宅ローンを払い続けることになり、大変な苦労となるでしょう。

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ライフイベントを見据えた計画的な購入を!

独身女性の場合、今後発生するであろうライフイベント(結婚、出産など)をどう考えているかがとても重要になってきます。

結婚・出産をしたいと思っているかどうか、その場合に購入したマンションをどうするのか、事前にしっかりとライフプランを立てた上でマンションの購入を検討すべきと思います。

マンション購入のデメリットは、簡単に言ってしまえば適切に処分(売却・賃貸)できなかった場合のダメージの大きさにあります。

結婚等によって処分することを考えているのであれば、立地や間取りにこだわってマンションを購入する必要があるでしょう。

すでに述べたとおり、現在は史上類を見ない低金利でありローンを組むには絶好のタイミングではありますが、必ずしも絶好のマンション購入タイミングであるとは限りません。

特に独身女性の場合は、単に「家賃を払うのがもったいない」とか「金利が低いから」といった理由だけでマンションを購入するのではなく、まずは自身の人生設計を描き、それに照らし合わせてマンションの購入を検討するようにしましょう。

ABOUT ME
塚口 秀一
地方出身、都内勤務のギリアラサー。FP2級、行政書士、簿記2級持ち。とにかく教えたがり屋で教師を志すもモンスターペアレンツを恐れ断念。お金に関することを中心に色々なことを記事にしていきたいと思います。よろしくお願いします